ボストン滞在記 「あとがき」
今回、5泊のボストン出張。
飛行機は片道15時間近く。
初日の到着が夕方であった為、実質4日間の滞在でした。
その間に打ち合わせ、そして2つのステージ。
非常にタフな仕事であったのですが
本当に面白かった、楽しかった。
一年以上も前から 今回の企画実現に向けて
実に多くの方々と出会う事が出来たのですが、
私の周りの美容業界とは全く関係の無い。
すごい肩書きの名刺を沢山受け取りながら企画を進めていったのです。
私個人だけの力では到底及ばない大きな企画。
「協賛」、「協力」、「後援」などのお願いに対し
非協力、無関心、挙句の果てには「こじき扱い」
中には 京都市からの協賛依頼に対して
わざわざ私に電話をかけてきて
長時間に渡って怒鳴り続ける 企業社長もいました。
さらには、別企画を推し進めようとする「反対勢力」も出現。
勿論、私など、美容業界の中では色々活動させて頂いておりますが、
世間では「どこの馬の骨」
簡単にいかないことは重々承知。
前途多難を予感させるスタートであった事は事実です。
しかし 味方も沢山出来ました。
非常に強力な人達。
その中でも第一番目は
京都市国際化推進室 村田室長、久野副室長をはじめとするスタッフの方々。
今まで、役所、役人、に対して
全く関心が無かった私である。
職人仕事の私とは完全にかけ離れた存在で
気にする事は皆無であったのだが、
今回の接触で 考えが180度転換した。
特に今回お世話になった京都市国際化推進室のメンバーは
実に良く働く、しかも非常に優秀な人間の集まりのようである。
語学力、世の中の仕組みに対する理解度、柔軟性
そして、役人のイメージとはかけ離れた長時間労働。
驚いた。
本当に心から最大級の御礼を申し上げたい。
そして今回の企画のきっかけを作ってくださり。
多岐に渡り 協力、アドバイス、etc.
出発前には 多額のお餞別まで頂いた。
H先生、そしてご夫人。
このお二人には 最初から最後まで「乗っかりまくり」で
特にH先生はその世界では頂点に居られる方。
超多忙な中、ずっとご助力頂いて。
ありがたい気持ちを通り越して 申し訳ない。
私なんかを推薦してくださって
随分余計な仕事を増やしてしまいました。
本当に有難うございました。
そして現地において フル・サポート して頂いた
セーヤさん、キヨコさん、そしてミドリさん。
特にミドリさんには
ステージのコーディネート、モデルの手配、通訳、etc.
ボストン美術館の学芸員を経て、その後、ピーボディーエセックス美術館の学芸員という
経歴の持ち主。
浮世絵に精通していて、理解力も抜群。
完璧なバイリンガル。
奇跡の出会いに 感謝、感謝。
その他、数えだしたらきりが無いのですが
・京都・ボストン交流の会・ジャパン・ソサエティー・ボストン・ボストン日本人会婦人部・あゆみブライダル・美容業界誌 女性モード社
・美容業界誌 百日草・ボストン美術館
・ボストン・フィルハーモニー・オーケストラ
その他数々の個人的な御協力を頂きました皆様
改めて御礼申し上げます。
今回ステージをご覧頂きました方々に
どういった印象を残す事が出来たのか。
その答えを感じる為には
もう少し時間の経過が必要なのでしょう。
ただ、確実に言える事は
日本の古典文化は彼らの心に響いた という事。
ボストンという町が
非常に知識レベルの高い人々で構成されている特殊性を考慮しても、
日本髪に限らず
日本人の美意識は
きっと世界中の人達の心に響く
こう思えてならない。
私たち日本人が
日本の古典文化の美しさを再認識し
今後の生活の中に取り入れる事が出来たならどんなに素敵な事でしょう。
久しぶりに 着物 着てみませんか ?
ボストン滞在記 part10
はじまりました。結髪実演。
本日の髪型は江戸時代中期 歌麿の浮世絵などにも多く登場する髪型 「燈籠鬢・勝山」。
この髪型、私的にも かなりのお気に入り。
今までに創った作品の中で
一番多く取り上げた髪型です。
髱が後ろに長く伸びた江戸時代前期の髪型から中期に入って
髱が小さくタイトになり、その代わり鬢が
大きくなります。
鯨の髭等で作った「びんはり」で
その大きなフォルムを支えるのです。
鬢の中には、後に見られる"毛たぼ"の使用は
見られず
鬢が薄く 透けて見える事から「燈籠鬢」の呼び名が生まれます。
プロセスを3台のプラズマ・モニターで映しながら結髪は進みます。
日本では未だ経験した事の無い質問の多さ、
そしてそれらの質問の質の高さ。
MCにあらかじめ台本を渡し、
話を進めていく予定でしたが
台本は全く必要無し。
客席からの質問に答えながら
色々現代の感覚とかけ離れた
当時のエピソードについて話しました。
途中からは、既に仕上がったモデル2名が登場。
最初に江戸時代初期の髪型「投島田」
次に現代島原太夫の髪型「お福」
特に太夫姿のモデルの出現時には
全ての視線が 太夫に集中。
人々の注目を集める為に完成した太夫の姿。
現代の異国の地において
その効力は 十分に発揮されたようです。
その間に結髪は進みます。
「燈籠鬢・勝山」の出来上がり。
客席からのリクエストにより 3人の写真撮影です。
最後は舞台上で記念撮影。
左は ボストン・シンフォニー・オーケストラ マネージング ディレクター
マーク・ヴォルピー氏 右は 在ボストン日本国総領事館 総領事 辻 優氏
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ボストン滞在記 part9
コンサート終了を見計らって太夫姿のモデルをエントランスホール付近に配置。
勿論、目的は集客。
やはり、ひとりでも多くの方々に見て頂きたい。
結果は狙い通り 人だかり。囲まれました。
シャッター音と質問が飛び交う中私も捕まりました。
これらの人達のほとんどがクラッシック・コンサートに
お越しになったお客様で
私のステージはあくまでも「おまけ」なのです。
しかし思っていた以上の良い反応に
逆にビックリです。
ボストンには世界的にも有数の浮世絵を所蔵するボストン美術館があります。
そのおかげに違いないと思います。
多くの方が日本の江戸文化に精通している多くの知識をお持ちであると言う事実。
また、ボストンは非常に知識レベルの高い町である。
大学関係者、及び美術館の関係者が
非常に多くの割合を占めるそういう 特殊な場所なのです。
私の展示作品を見て「晴信」や「歌麿」の声が
聞こえてくる。
ましてや、多くの方々が日本髪姿の女性を見るのは
はじめてであったでしょう。
これから本番に向けて、私自身の緊張感もちょうど良い具合に高まってまいりました。
きびきびした動きのシンフォニーホールのスタッフ
モデルの準備も全てOK。
MC 及び 通訳のMidoriさんも完璧。
色々と心配事も多々ありましたが
何とか上手くいきそうです。
ボストン滞在記 part8
そして、もうひとりのモデルの髪型は
京都島原太夫の「お福」。
先程の「投島田」とは全く逆で、現存する日本髪。
つまり、今現在にも 太夫が存在すると言う事。
その髪型は 今のところ、日本髪の最終進化型でありラッキーな事に、私が結髪技術を習った先生が
当時、太夫の髪を結う唯一の結髪師であった事。
そして、その数少ない太夫から直接
希少な話を数多く聞けた事。
それらの経験を活かし
今回は、基本的な伝統は限りなく尊重し
でも、現代的な美しさをもしっかりと取り入れる そして、今回の国際文化交流としてのメッセージをも 更にいれたい。
そういう想いの元
メイクは"おしろい"は使用せず
ファンデーション、眉、アイライン等は
現代のメイクアップを基本とした。
髪型に関しては ここは忠実に
使用する型、付け毛 等は全て本物と同じ
工程も完全に忠実に行った。
そして今回のメッセージを髪飾りで表現しました。
通常太夫は 家紋をモチーフとした簪をさします。
この簪を"ピース・マーク"で創りました。
勿論特注品。
江戸時代、ファッションが飛躍的に進化した
その理由
その最も大きな要因の一つとして「平和」があります。
多国間との戦争が無かった事。
民衆が日常の生活において エネルギーの多くを "お洒落"につぎ込む事が出来た。
ファッションの進化には「平和」が非常に大きな
キーワードとなる。
今後、私達が「美しくなり続ける」
そこには「平和」が必要な事なのではないでしょうか。
ボストン滞在記 part7
10月16日最終日 いよいよ今回の企画の「大目玉」
ボストン・フィルハーモニー・オーケストラ・シンフォニーホール。
歴史的にも非常に価値のある最高のロケーションです。
これは シンフォニー・プラスという企画で
メインのピアニスト、ピーター・ゼルキンの演奏後 私のステージがスタートします。
クラッシック ファンの方は既にご存知だと思いますが
ピーター・ゼルキン、超有名なピアニストです。
ちなみにコンダクターはルドヴィーク・モルロー。
このコンサート・ホールは
1900年世界で初めて科学的な根拠に基づいて音響が設計された
世界でもっとも音響の優れたコンサートホールのひとつとして有名です。
ところで、私の仕事の話。
今回のステージ内容は
ステージ上でひとりのモデルの髪を結い上げます。
髪型は江戸中期、喜多川歌麿の浮世絵にも非常に多く登場する「燈籠鬢・勝山」。
そして他に二人のモデルを事前に創っておいて、実演中に会場内をウォーキング
と言う内容です。
ウォーキング・モデル ひとりは江戸時代初期、
元禄髱の「投島田」。
奥村政信の作品などに見られる初期の島田髷。
後方に伸びた襟足が特徴的で、時代によって この襟足の形が
変化します。
襟足の形によって 鴎髱やセキレイ髱などの種類があり 鈴木春信の作品には セキレイ髱が多く登場します。
先日、ボストン美術館で拝見させて頂いた
スポルディング・コレクション の感動が覚めない中で
中々テンション高めで
ちょっと いい感じ ?
ボストン滞在記 part6
15日。
この日は 今回お世話になりましたコーディネーターの
MIdoriさんの計らいでMFA(ボストン美術館)を訪れました。
宿泊先のホテルのすぐ前から地下鉄ですぐ。
地下鉄といっても途中から地上に出ますし
造りもバスっぽい乗り物でしたが。
ボストン美術館は世界で最も浮世絵の収集に優れた美術館。
中でも私が今回リクエストした スポルディング・コレクション。
これは寄贈者の希望で 劣化を防ぐ為に
一般公開をしない物です。
当然、今まで完全未公開なのですが
何とキュレーターの部屋に通され 特別に対面しました
スポルディングが収集した浮世絵の数々
目の前で。
ここで"くしゃみ"でもしようものなら\nえらい事になる。
それ位の距離で。
限られた時間の中で100点以上を見せて頂き
びっくり、そして 感激。
さすがに撮影禁止。
先人達の色彩感覚の豊かさ、
今まで沢山の浮世絵を見てきましたが
あきらかに 違う。
古典の面白さを再認識させられた1日でした。
これからも もっと深く・・・やります。
ボストン滞在記 part5
いよいよ ステージのはじまりです。
Japan Society 理事長 グリーリ氏のご挨拶
そして ボストン大学教授 ホワイト先生のご挨拶
その後キュレーター及びMC,通訳のMidoriさんによる 江戸時代の浮世絵に見られる髪型の変換についての解説。
資料はボストン美術館の提供です。
それらが終了して 私のデモストレーションが始まります。
今回、ウォーキングでもモデルの髪型は「元禄・立兵庫」
結髪実演は「京都島原太夫・お福」です。
着付けは ボストン在住の日本人の方にお願いして
いざ本番。
毎回そうですが、実は結髪時に鏡が無い事 これはとてもつらい事なのです。
バランスを確認する事が全く出来ない。
しかし"見せる"事が主ですから "カン"だけが頼りなのですね。
結髪の途中で
既にスタイリング済みのモデルの登場\n
客席の視線が一斉に動くのが面白い
そして会場からは「HARUNOBU」の声が
やはり浮世絵所蔵量No.1のボストン美術館がある街
知っていますね。
その間も結髪は続きます。
出来上がりました。
背の高い「三本歯」の下駄を履いています。
ちょっと大きく見えますが・・・。
いや、随分大きく見えますが・・・・。
やはり最終的には大量のカメラのフラッシュを浴びる事になりました。
これは日本と同じですね。
今回も一応台本を用意して
実演中にMidoriさんに質問をして頂いて 私が答える こういう方法を考えていました。
ところが、こんな台本など
全く必要なし
会場から次々と発せられる質問の数々
しかも かなりレベルが高い。
私としても 今まで多くの本などから得た知識を\nしゃべりまくったのでした。
実に面白かった。
2日後のBSOのステージも きっと面白いものになるに違いない
そう 確信させてくれるひと時でした。
ボストン滞在記 part4
14日BSOでの打ち合わせ終了後 まず一回目の会場となります
ショウワ・ボストン大学に向かいました
会場は「昭和ボストン大学」のチャーチ。
美しいステンドグラスに囲まれた厳粛な感じの場所です。
今回モデルは2人。ひとりは事前に髪を創っておいてウォーキング
もうひとりはステージ上で創ります。
スタッフの多くが日本語を話し、今回の企画に非常に興味を持って
接してくれます。しかも皆お茶目。
入り口付近に 私の作品を展示しました。
今回のボストン講演開催のきっかけとなった
ボストン大学教授 ホワイト先生との久しぶりの再会\n
![]()
彼女は日本文化の研究をされていて
京都に研修でこられていた時に
サロンにお客様として来店された事が始まりです。
その時に手渡した 数枚の私の作品のポストカードが
巡り巡って Japan Society の理事長の目にとまり\n今回の企画実現の重要な要因に変化しました。
幾つかの偶然が絡み合い このような結果に繋がる事。
世の中 実に面白い。
part5に続く
ボストン滞在記 part3
ボストン滞在記 part2
13日。
この日は完全に打ち合わせの日。
この数ヶ月、メールと電話で詳細を組み立てて来た訳ですが、
何しろ お会いしたのは昨日が初めて。
今まで日本国内で色々やってきた来ましたが、今回はかなりシビアーです。本番は明日なのですから。
今回 コーディネート、通訳、モデルの手配等、何から何までお世話になりました Midoriさん ボストン美術館、ピーボディー・エセックス美術館で日本美術のキュレーターとして経験を積んで来られた
この彼女が 完璧でした。知識の広さ、深さ、柔軟性、
浮世絵に関する知識もかなりのもので とにかく話をしていて 面白くて仕方ない。
今回のステージで私がやりたい事、伝えたい事、日本の古典の美しさ、楽しさ。
彼女の理解力の高さに 本当に驚いたのでした。
間違いなく良いステージになるでしょう。
そして、夕方に京都市役所 国際化推進室副室長の到着。
すぐに私の部屋で明日からの打ち合わせに入ったわけなのですが、
最も気になっていた事。 そう、あのRyousukeに頼んでいた「刺繍襟」の件。
届きました。奇跡です。私が成田で電話をきってから、襟が手元に届くまでに起こった数々の偶然。
帰国後 詳細が判明するのですが 本当に良かった。
初めてRyousukeを誉めてあげたい。こんな気持ちになったのでした。
副室長とは既に何度も打ち合わせ済み、細かい時間の確認等のみで 明日の本番を待つのみです。

























